「大人のための里山学校」「解放と受容。そして共感」 前編【ホースハーモニー】

3月10日(日)、前日までの雨もやみ、穏やかなお天気に恵まれて「大人のための里山学校」特別企画Part2が行われました。

テーマは、「解放」と「受容」、そして「共感」でした。


【ホースハーモニー編】
今回のホースハーモニーのテーマもまた、「解放」と「受容」、そして「共感」でした。
タロウさんとルーカスを相手に、
「解放」とは何を開放するのか。
「受容」とはどんなふうに何を「受容」するのか。
そして「共感」ができたとき、何が起こるのか。
この三つを実体験して頂くのが目的です。

下の2枚の写真を見てください。
ルーカスを見つめる「人たち」 。馬と間近でコミュニケーションをする経験はほぼ初めての方々です。はじめはドキドキや不安もあったかもしれません。
ルーカスは頭を上げて、両耳を揃えて人に注意を向け、鼻穴を広げて「人」の匂いを嗅いでいます。

呼吸に専念して肩の力が抜けています

やがてルーカスは穏やかな目をして、すっと頭を下げました。
この時、「人」たちはその位置を変えたり、大きな動作をしたりすることなく、言葉も発することなく、ただ静かに事前にご説明したやり方で「呼吸」に専念していました。

この中で、「心」がここにない状態の方がいると、馬は近寄って来れないことがあります。逆に、上の写真のように人が4人いても、心と体が静かで、皆さんの「心」がここに「在る」と、近寄ってきます。「後追い」すらします。

「心」がここにない状態というのは、気持ちが目の前のルーカス以外に向いている状態です。
上の写真のように、ただここに、「共に在る」状態。つまり、たとえ一瞬でも、あたかも自分が「馬」になったかのような意識のとき、または「人」であるという意識からすっと離れたとき、馬はこのような反応をします。

ルーカス、とっても落ち着いていますね

上の写真、「人」の雰囲気と「馬」の雰囲気を比べて見てください。
どちらも静かです。
もちろん、「人」も「馬」も心がありますから、こうしている間にも「心」はいろいろと揺れたり、浮いたりもするのですが、それでもお互いに、「場」として静かでいられるのはなぜなのでしょう。

このような「静かな状態」のときは、最小限のとても小さなボディランゲージがすっと伝わります。 この方には、「進め」のボディランゲージをして頂きました。

上の写真は、「人」が最小限の小さな「進め」を指示したあと、ルーカスが前進し、人が寄り添って歩いている様子です。(人が馬の後を追っているのとはニュアンスが異なりますね。)
リードなしの裸馬が、人の小さな指示で歩き出し、歩調もぴったりです。
この方は、ルーカスとの関係において呼吸により「解放」と「受容」のプロセスを事前に経ています。そして「共感」の状態になるとこのようなことが起こります。

下の写真は、引馬の途中で歩みを止めたルーカスと、それをそのまま「受容」している「人」の様子です。「人」の立ち姿や笑顔が「受容」そのものです。
体がリラックスしていて、肩がさがり、顔は自然な笑顔で、顔の表情筋が緊張していません。このように、心と体はいつも密接に連動しています。

この状態を「受容」せずに、つまり何かしら「馬」や「自分」を動かそうとして、体や心に緊張が生じると、人と馬の膠着状態になり、馬は動けません。


人の「心と体が一致」した「受容」のボディランゲージが伝わると、 次の写真のようにルーカスは静かに歩けるのです。この写真は、ルーカスが歩かされているのではなく、人馬の共感のもとに、共に歩いている様子です。
「命令」でも「服従」でもない、つまりお互いに「枠」とか「型」がない状態で共感していると、このようなことが起こります。

ちょっと考えてみましょう。ルーカスとの関係性において、最初に、「こうすれば、こうなる。」とか、「このようにさせよう。」などという意思が上の三つの例から感じられるでしょうか。

結果に対する「期待」とか「思い込み」がなく、「枠」や「型」を解放し、その「状態」を受容する。またはその反対に一旦、その「状態」をありのままに受容して、そしてその時に気づいた「枠」とか「型」といったものを呼吸により解放する。つまり、事前にご説明した「呼吸」に意識を向けると、これまでの写真のような「優しい」状態になります。
すると、結果的に物事はスムーズに、無理なく、気持ちよく「共感」をともなって、内心、期待していた展開に物事が進みます。

最後に、下の写真のようなコミュニケーションも実は「あり」です。

リードの張りに注目!

「人」は思い切りリードを引っ張り、大きな動作で「こっち!こっち!」といい、ルーカスは頭だけ前に出し、体は固まって動けません。
でも、この場合、「人」の型や枠というよりは、「人」がもうすでに半分、「馬」になっていて、馬同士のやり取りみたいです。 ルーカスの後ろにいる方が笑っています。そういう雰囲気は伝搬するのです。
でも、「人」が一瞬立ち止まり、「呼吸」を通じて、リラックスすると・・・

スタスタっと歩き出しました!

やはり、こうなります。
この間、約30秒。「共感」の引馬が始まります。
「解放」、「受容」、「共感」・・・
実はとても短時間でできてしまいます。「馬」という生き物はそれを人間に教えてくれます。
「人」同士だと、 なぜか「解放」と「受容」に時間がかかります。 枠とか型とか、固いものに縛られがちです。
でも虹色の子どもたちのことを学んでいる私たちは、「違い」を知り、「多様性」を受け入れることも、「画一性」の型や枠を解放することも、虹色の輝きに「共感」することも、すべて、馬を相手にした時の自分の「優しい状態」と同じことだということを知っています。
子どもたちと馬を同一視するとか、人間関係を馬との関係に置き換えるとかではなく、馬と接していた時の「自分」を思い出してみてください。
どうぞ、ルーカスの心に響いた「自分の優しさ」に自信を持って下さい。

次は、【子どもたちの様子編】です。今回もやはり多様でした。(^▽^)/

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